登山やキャンプなどのアウトドアで、是非持っていたいのがポイズンリムーバーです。ポイズンリムーバーとは、アブやハチに刺された時に素早く毒を吸い出す応急処置用の器具のことです。これをするとしないとでは、あとあとの症状がかなり変わってきますので、持っていると安心です。今回はどんなポイズンリムーバーを買ったらいいのか迷っている方に、使い方や注意点なども交えておススメをご紹介します。
使う頻度は少ないが、あると助かるポイズンリムーバー
これは私の推測ですが、ポイズンリムーバーって最初から持っている人ってあまりいないと思うんですよ。結構かさばりますし、毒虫に刺される確率ってそれほど高くないじゃないですか。刺されちゃったとしても「仕方ないよね~」で済ませたり、ポイズンリムーバーの存在すら知らない人もいるかもしれません。
でも、自分が毒虫に刺されて痛い思いをした時に、初めてポイズンリムーバーがあればよかったと後悔するんです。だから、刺された経験のある人はポイズンリムーバーの携行率が高いと思います。
実は私もその一人です。過去記事でも書きましたが、登山中にブヨに刺されて2週間苦しみましたから!
もう二度とあんな経験はしたくない!それ以降、私のファーストエイドキットの中には必ずポイズンリムーバーが入っています。
ポイズンリムーバーは登山ツアーのガイドさんや、学校登山、野外活動などの引率者は大抵持っていますし(たぶん)、スズメバチに刺されて発症するアナフィラキシーショックの予防や、毒蛇に咬まれた際、抗血清のある医療機関に運ぶまでの応急処置に使用できますので、少なからず症状の軽減が期待できるでしょう。
また、家族でキャンプに行った時に、小さいお子様が刺されてキャンプが台無しになったら悲しいですよね。子供の安全を守るのは親の務めでもあります。
そしてさらに、ポイズンリムーバーは、農業や園芸従事者の方も所持していることが多いです。彼らは蜂やアブ、ヘビなどに遭遇する確率がアウトドアに比べてとても高い職業なので、当然と言えば当然ですよね。そのような方が持っているということは、ある程度の効果はあると考えていいと思います。
そんなわけで、持っていて損はないポイズンリムーバー。「備えあれば憂いなし」。常日頃の準備が大事だということです。それほど高価なものではありませんし、刺されてからでは遅いので、なるべく早い段階で用意しておくことをおススメします。
ポイズンリムーバーのオススメは?
ポイズンリムーバーにはいくつか種類があり、形状や使い方が少し違っていたりします。お値段もピンキリで、簡易的なものでよしとするか、多少値段が高くても耐久性の良さそうなものを選ぶかで、悩む人も多いことでしょう。
購入は大抵、ネット通販で買うことになると思いますが、実際に触って比べることが出来ませんので、口コミなどを見て判断するしかありません。ここでは私が実際に購入した商品をいくつかご紹介しますので、参考にしてみてください。
ドクターヘッセル / インセクトポイズンリムーバー
比較的安価で、簡易的なポイズンリムーバーは、ドクターヘッセルのインセクトポイズンリムーバーです。店舗でも置いている所が多いので、目にしたことがあるかもしれません。
- サイズ:本体最大直径 27mm、長さ 93mm、レバー幅 62mm
- 本体素材:プラスチック(ポリエチレン系)
- 重量:12g
- 原産国:デンマーク製
- 参考価格:1,007円
これは私が一番最初に購入した商品であり、最初に試し買いするにはお手頃価格です。下の記事でもご紹介していますが、小さいのでファーストエイドキットの中に入りますし、軽いので持っていることを忘れてしまいそうです。
マウスピースの直径は2種類です。
使い方は、吸い口を患部に押し当てたらレバーを引いて吸い上げます。必要であればこの操作を繰り返して下さい。
患部が小さい場合は、マウスピースを上下反対にして吸い上げます。
デメリットを言えば「壊れやすい」ことが挙げられます。
久しぶりに出してみたら、マウスピースが割れて使えなくなりました。マウスピースはこれ1個しかないので、割れたら終わりです。経年劣化なのか、ザックの中でつぶされたのかは分かりません。携帯するにはハードケースに入れる、時々チェックするなどのフォローが必要です。
また、腕を刺された場合、片手でポンプ操作をし続けることになり、その間他の作業ができなくなりますのでご注意ください。
アスピラボ / アスピブナン
アスピブナンはハードケース付きで、本体とマウスピースの収納場所も決められており、ザックの中でカチャカチャ音がしません。本体やマウスピースの破損も心配なさそうです。
- 本体サイズ : 直径26mm、最大部49mm、長さ118mm
- ケースサイズ : 55×145×35mm
- 本体素材 : プラスチック(ABS樹脂他)
- 重量 : 96g(ケース含む)
- 原産国:フランス製
- 参考価格:3,000円+税
マウスピースの直径は3種類で4通りの使い方ができます。
- 外径20mm
- 外径15mm×7mm(上下で使用可)
- 楕円形20mm×13mm
<使い方>
①マウスピースをつけ、レバーを先に上げておきます。(子供な場合は半分まで)
②患部にマウスピースを当て、注射する要領でレバーを最後まで押し切ると吸い付きます。吸引力も申し分なく、簡単には外れません。
③外すときは、レバーを少し上げてやると外れます。
④消毒薬で傷口を清潔に保ちます。
デメリットは、ややかさばること、ファーストエイドキットの中に入らないことでしょうか。とは言え、すぐに取り出せる状態にしておくほうがいいので、ファーストエイドキットには入れないのが最適解かと思います。
TIGER / エクストラクター ポイズンリムーバー【2020年改良版】
TIGERのエクストラクターポイズンリムーバーもハードケース付きで損傷の心配がほぼなく、万一壊れてしまっても、国内メーカーの2年間の品質保証付き(カップなどパーツの破損も含め、送料無料、無償にて交換対応)で安心です。
- 本体サイズ:120x55x30mm
- ケースサイズ:155x90x50mm
- 重量:約90g(本体、カップ、ケース込)
- 材質:ABS樹脂 他
- 原産国:中国製(日本代理店あり)
- 参考価格:2,980円
エクストラクターポイズンリムーバーのメリットは、マウスピースの種類が豊富なことです。様々な患部に対応できて安心です。
マウスピースの直径は5種類で、6通りの使い方ができます。
- 外径27mm
- 外径23mm
- 外径20mm
- 外径15mm&6mm(上下で使用可)
- 蛇毒用だ円カップ 20x8mm
最大径は27mm、特筆すべきは面積の狭い指を刺された時のための最小6mmがあることです!
<使い方>
①マウスピースをつけ、レバーを先に上げておきます。 これはアスピブナンと同じ方法です。
②患部にマウスピースを当て、注射する要領でレバーを最後まで押し切ると吸い付きます。 写真を見てわかるように、大変強い吸引力です。
③外すときは、レバーを少し上げてやると簡単に外れます。
④傷口を消毒し、絆創膏などで覆います。
デメリットですが、レバーがやや長いことと、押すのにある程度の力が必要なことです。手の小さい方や力が弱い方は注意が必要です。
ポイズンリムーバーの注意事項
ポイズンリムーバーを使用するにあたり、注意点や取り扱い方法などをまとめてみました。
ポイズンリムーバーの使用は時間との戦い
刺し傷や咬み傷を受けてから、ポイズンリムーバーを使用するまでの時間が結果に影響を及ぼします。ポンプで最適な結果が得られるよう、 刺し傷や咬み傷を受けてから3分以内に使用するようにしましょう。
また、動物によって吸入時間が異なります。下の表を参考にしてください。
動物 | 吸入時間 |
スズメバチ、ミツバチ、モンスズメバチ等 | 1分から3分 |
蚊、アブ、ブヨ等 | 20秒から30秒 |
トラギス、クラゲ、オニダルマオコゼ等 | 2分から3分 |
蜘蛛、サソリ | 1分から2分 |
毒蛇 | 3分以上 |
最初の吸入から痛みがなくなっていない場合、吸引力が弱く感じる場合は、ピストンレバーを上げ、再度吸入を行ってください。
以下の項目もチェック!
吸引した後のお手入れ方法
ポイズンリムーバーを外す際、皮膚の表面及びカップ内に毒液が出ていることがあるので、毒液が飛び散らないよう注意してください。アルコールティッシュやビニール袋を持参するといいですよ。
洗浄は、マウスピースのみを石けん水で洗ってください。本体は濡れると吸引効果が弱くなりますので、洗わずに湿気を避けて保管してください。
まとめ
今回は、ポイズンリムーバーについてお伝えしました。おさらいしますと、
- ポイズンリムーバーは、破損防止のためハードケース付きのものを!
- マウスピースの種類は、3種類以上あることが望ましい。
- 指にも使える最小径があるかどうかをチェック!
- 簡単に使えるかどうかも重要です。
- いざという時慌てないために、必ず事前に練習しておこう。
- 使った後は、カップを石けんでよく洗い、本体は洗わずに保管。
もし山の中でスズメ蜂の大群や毒蛇に咬まれた場合、すぐに下山できない状態であったり、山小屋もなく救助を待つしかない状態になったりする可能性が、全くないわけではありません。そういった場合にポイズンリムーバーを持っていれば、とりあえずは自分である程度の解毒ができるので、とても心強いと思います。
ただし、ポイズンリムーバーはあくまで応急的なものなので、処置後は必ず医療機関にかかることを忘れてはいけませんね。
それでは楽しい山歩きを!
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