登山での夜間歩行に欠かせないギアと言えばヘッドランプですよね。日帰りだから要らないと思いがちですが、登山では道迷いや怪我などで日没を迎えてしまうこともあるため、ヘッドランプはどのような形態の登山であっても必携の持ち物になっています。
でも、ヘッドランプって種類やメーカーがたくさんあって、どれを買ったらいいのか迷ってしまいませんか?ヘッドランプはペツル、ブラックダイヤモンド、マイルストーンなどが有名ですが、もしあなたがペツルでヘッドランプをお探しなら、少しはお役に立てるかもしれません。今回は、ヘッドランプを選ぶ時の注意点と、私も愛用している人気のメーカー「ペツル」の、登山に最適なヘッドランプをご紹介します。
登山向けヘッドランプの条件
一口に登山向けヘッドランプと言っても、日没や早朝出発に備える一般登山用のもの、岩場で使うテクニカル登山用のもの、暗い山道を走るためのトレラン用のものなど、使い方によって選ぶものは違ってきます。まずは自分の登山スタイルを考え、どのようなヘッドランプが自分に合っているかを知るところから始めましょう。ヘッドランプは実際に試すことが出来ないので難しいですが、以下を参考にしてみてください。
①明るさ(ルーメン)
ルーメン(lm)とは、LED電球のすべての方向に放射される「光の明るさの量」を表す単位です。この数値が大きいほど明るくなります。近年LEDの進化はすさまじく、高照度のヘッドランプになると1000、2000のものがありますが、一般登山用には100~300lmがおススメと言われています。トレランや長時間の岩場登山などでは300lm以上はあったほうが私は安心かと思います。
②照射モード
ヘッドランプの照射モードには、自分の周りや手元の地図などを照らす近距離用ワイドモードと、遠くの障害物や地形を確認するためのスポットモードがあります。登山用には、ワイドモードとスポットモードの両方を備えたミックスモードのヘッドランプが推奨されています。安価なヘッドランプは、スポットモードが搭載されていない事があるので注意しましょう。
ところで、ヘッドランプのHIGH(強)モードは人間の目には眩しすぎて、ヘタをすると周囲の人を目くらましにしてしまいます。登山道以外の場所(テント場や山小屋)では、他の人に迷惑をかけることがないよう弱モードを使うなど気配りを忘れずに。人の目にも優しいRED(赤)モードがヘッドランプに備わっていると、安心して行動ができますよ。
③形状
一般登山用には、ゴムバンドタイプのものがおすすめです。簡単に着脱が可能で、収納もかさばらず、ヘルメットにも付けやすいです。トレラン用には、固定が重視された頭頂部にもバンドがあるスリーバンドタイプなどがおすすめです。逆に、バンドがヒモだったり細いものは外れやすいのでやめましょう。
④重さ
今のヘッドランプは軽量化が進んで、電池込みでも100g以下のものが主流です。注意点としては、ヘッドランプは明るさが大容量になるにしたがって重量も増えますので気をつけましょう。また、古い機種より新機種のものが軽量化されていておすすめです。特に首が弱い方は、軽いタイプを選んだほうがいいでしょう。
⑤乾電池式かバッテリー充電式か?
昔は乾電池式が一般的でしたが、今はUSBで充電できるバッテリー式のものも増えてきています。どちらがいいのでしょうか?以下にそれぞれのメリット・デメリットを挙げてみました。
【乾電池】のメリット・デメリット
メリット 乾電池は山小屋やコンビニで手に入りやすく、ヘッドランプ自体も安価な物が多いです。充電の煩わしさがないこと、グループで登った場合、お互いに電池を共有できることもポイントが高いです。
デメリット 乾電池を買い続けなければならずランニングコストがかかることとゴミになること、それと乾電池自体が結構重いです。また性質上、徐々に照度が弱くなっていくのは避けられません。軽量化したい方、常に一定の明るさを保持したい長時間登山には不向きです。
【バッテリー】のメリット・デメリット
メリット バッテリーはそれ自体は意外と軽いです。ペツルのバッテリーCOREは、わずか23gで単4×3本より軽いです。高照度に対応できることと、USB充電が出来るためスマホの充電器があれば共有して使えます。また、乾電池のように徐々に明るさが弱くなることがないので、常に一定の明るさで行動ができます。荷物を軽量化したい方、長時間の登山に最適です。
デメリット 充電に時間がかかるということでしょうか(約3時間)。そもそも大容量なので持ちはいいのですが、歩いている途中でバッテリーがなくなったら困りますね。
そこで私がおすすめするのは、バッテリーと乾電池の両方が使えるハイブリッド式のヘッドランプです!今や、ハイブリッド式はヘッドランプの主流になりつつあります。ハイブリッド式のメリットは、山行の途中でバッテリーがなくなっても、乾電池を入れることで即座に行動復帰ができることです。これから購入するのであれば、間違いなくハイブリッド式がいいでしょう。
⑥防滴・防水性
電子機器の防水性能は「IPX」という数値で表します。IPXは0から8まであり、数字が大きいほど防水性能が高く、一般的にIPX4,5,6を「防滴」、IPX7,8を「防水」と言います。
ヘッドランプは、ある程度の雨を想定して作られています。「IPX4(あらゆる方向からの水による影響を受けない)」があれば、雨天の山行にもほぼ安心して使うことが出来るでしょう。沢登りなどで心配な方は、「IPX7(水中に浸けていても浸水しない)」にしておくと安心です。
ペツルヘッドランプについて
ペツルについて
ペツル(PETZL)はフランスに本社のある企業で、暗闇や高所で働く人や遊ぶ人に向けて、ヘッドランプ、ハーネス、ピッケル、アイゼン、ヘルメット、ロープなどの個人用保護具を提供している世界最大のメーカーです。そのため、登山、ロッククライミング、セーリングなどのアウトドアスポーツ、産業用途での使用者に非常に人気があります。ペツルのヘッドランプは、1973年より約40年以上にわたって絶えず進化し続けており、高い耐久性、効率性、シンプルさに定評があるので、誰でも安心して使用することができます。
ペツルのハイキング・登山・トレラン向けヘッドランプ
ペツル公式サイトでハイキングや登山、トレラン向けに提供しているおもな製品は以下のものです。すべてCORE充電式バッテリーとの互換性があるハイブリットヘッドランプとなっています。
TIKKA(ティカ)300 / ハイキング・キャンプ・旅行
赤色照明付きのコンパクトで使いやすいヘッドランプです。300ルーメンのワイドモード搭載。スポットモードはありません。ナイトハイク、キャンプ、テントでの読書、旅行に適しています。単4アルカリ電池×3本付属。CORE充電式バッテリーとも互換性があります(別売り)。6lm、100lm、300lmの3つの照射モードと、2lmの赤色モード。照明色は白と赤。重量はわずか82g。
ACTIK(アクティック)350 / ランニング・登山・トレッキング
赤色照明付きのパワフルで使いやすいヘッドランプです。350ルーメンのワイド+スポットのミックスモードで、動きがダイナミックなランニング、トレッキング、登山に最適。単4アルカリ電池×3本付属。CORE充電式バッテリーとも互換性があります(別売り)。6lm、100lm、350lmの3つの照射モードと、2lmの赤色モード。照明色は白と赤。重量はわずか86g。
ACTIK CORE(アクティックコア)450 / ランニング・登山・トレッキング
CORE充電式バッテリーを搭載した、赤色照明付きのパワフルで使いやすいヘッドランプです。450ルーメンのワイド+スポットのミックスモードで、動きがダイナミックなランニング、トレッキング、登山に最適。単4アルカリ電池×3本とCOREバッテリーが付属。6lm、100lm、450lmの3つの照射モードと、2lmの赤色モード。照明色は白と赤。重量はわずか80g。
SWIFT RL(スウィフト RL) 900 / トレラン・テクニカル登山・スキー登山
リアクティブ照明®技術を採用した、コンパクトでパワフルな充電式ヘッドランプです。センサーが周囲光を分析し、ニーズに合わせて明るさを自動的に調整します。900ルーメンのワイド+ミックスモード。最小照射力は10lm。後頭部を2本のバンドでサポートし、ダイナミックな激しい活動で優れた安定性を提供します。また、バッテリーの充電レベルを正確に監視するための5レベルのゲージを備えています。重量はわずか100g。
以下にそれぞれの製品情報をまとめて表記しましたので参考にしてください。右へスクロールできます。
種類 | 最大ルーメン | 照射レベル | 重量 | 防水性能 | エネルギー | CORE互換性 | 照明色 |
TIKKA | 300 | 弱・中・強 | 82g | IPX4 | 単4アルカリ電池3本(付属) | 有(別売り) | 白 |
ACTIK | 350 | 弱・中・強 | 86g | IPX4 | 単4アルカリ電池3本(付属) | 有(別売り) | 白、赤 |
ACTIK CORE | 450 | 弱・中・強 | 80g | IPX4 | 単4アルカリ電池3本(付属) | 有(付属) | 白、赤 |
SWIFT RL | 900 | 弱・中・強 | 100g | IPX4 | 2350mAhリチウムイオン 充電式バッテリー(付属) | ー | 白 |
注)ペツルのヘッドランプは常に新機種が発表されており、ネット通販では上記でご紹介した商品の他にも照度(ルーメン)違いのものやCOREが付属したものが今後販売される可能性がありますのでご了承ください。
私が購入したアクティックコア450の詳細
私は2022年11月にペツルのアクティックコア450を購入しました。私にとってペツルは2台目になります。一つ上位ランクのアクティックコア600も発売されていますが、一般的な登山では450で十分かなと思います。これは本当に明るい!私は暗闇恐怖症で心配性なこともあり、これを持っているととても安心するのです。
強・中・弱モードの見え方の違い
アクティックコアは強:450lm、中:100lm、弱:6lmの3段階の照射モードがあります。実際に屋外で撮影してみたので、違いをご確認ください。
450lmの見え方です。遠くの登山道までよく見えます。また、樹木の葉の部分もくっきりと明るく照らされています。夜間の歩行には十分な照度と言えます。
100lmの見え方です。近くの登山道は問題なく見えています。遠くの景色は450lmに比べたら暗い印象。テント場や自分の周囲を照らすには十分だと思います。
6lmの見え方です。暗すぎて上手に撮れなかったです。この明るさでは歩行に適していません。テント内、山小屋内なら問題ありません。
屋内や人のいる場所で使える赤色モード
赤色照明がなぜ必要なのか考えたことがありますか?山小屋やテントでは、夜間トイレに行く時や、荷物の確認をする時にライトが必要ですが、暗闇でいきなり強い光を付けてしまうと周囲の人の迷惑になる可能性があります。そんな時にヘッドランプに赤色モードがあると大変便利なのです。赤色照明は人の目に優しく、登山では必須のアイテムになります。ヘッドランプを購入する時は、赤色モードのついたタイプを選びましょう。ACTIK COREには赤色モードがあるので安心です。
ちなみに、釣りの場合でも赤色照明は水中に届きにくいため、魚に警戒心を与えないというメリットがあります。
ハイブリッド式で最初からCORE充電バッテリーが付いてくる
ACTIK COREにはCORE充電バッテリーが最初から同梱されています。他機種も含め、商品名に「CORE」が無いものはハイブリッドタイプと言えども充電バッテリーは別売りなので注意しましょう。
CORE充電バッテリーは単品でも購入できますが3,000~4,000円ほどします。もしCORE付きを考えているなら最初からCORE付きのものを購入するほうが経済的です。
乾電池は単4を3本必要とします。乾電池を入れた時の総重量は91gでした。本体が57gなので乾電池の重量は34gということになります。
CORE充電バッテリーを入れた状態です。CORE単体の重さは23gで、総重量はわずか80gでした。450ルーメンなのに照度の低い他機種より軽いのは驚きです。
スマホ用の充電器が使えて便利
CORE充電バッテリーは、本体のUSBポートから再充電ができるので便利で経済的です。登山ではほとんどの人がスマホ用充電器を携帯していると思うので、それと共有できるというところが良いと思います。充電インジケーターにより、今どのくらい充電されているのかも分かります。また、低温下にも強く、高い性能を発揮してくれます。
また、長期登山では予備のバッテリーを乾電池ではなく、もう一つCORE充電バッテリーを購入しておく人もいます。乾電池が要らなくなります。
気配り機能あれこれ
- ペツルのスイッチは弱モードから始まります。ワンクリックするごとに弱→中→強モードとなるので、周囲の人を驚かせることがありません。
- 長押しすると赤色モードが点灯し、続けてクリックすると赤色の点滅に変わります。エマージェンシーとして周囲に居場所を知らせることができます。
- 暗闇の中でランプを見つけるための便利なリフレクター(蓄光反射)付き。
- 輸送中または保管中にランプがオンになるのを防ぐLOCK機能(4秒長押し)。
- 夜間に見えるヘッドバンドは取り外し可能で、洗濯もできます。
- 収納ケース(ノクティ)(別売り)はランタンに変えることができます。
持ってると便利!ヘッドランプ収納「ノクティ」がランタンに早変わり
ペツル専用のヘッドランプケース「ノクティ」は、ヘッドランプを中に収納することでテント内などでランタンとして使えます。卓上・吊り下げに対応可能で、使わない時はザック内での不用意な点灯を防ぎ、重量はわずか85g。別にランタンを持って行く必要がないので、軽量化にもつながります。予備電池を入れる場所もあり、無くさない。一石二鳥…いや三鳥かな?
まとめ
ペツルのヘッドランプは、豊富なバリエーション、シンプルな構造、高い性能と耐久性が特長なので、ご自身の用途にあったものがきっと見つかります。今回は登山用として最適なヘッドランプをいくつかご紹介しましたが参考になりましたでしょうか?頻繁に登山をするならCORE充電式、たまに歩くくらいなら乾電池、など使用頻度によっても選べますね。是非、ご自身の用途に合ったヘッドランプを見つけてくださいね。
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