登山ザックの防水対策 / 荷物を濡らさない方法と雨の日におススメのザックは?

雨の涸沢カール 山の道具
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あなたは暴風雨の登山中、ザックカバーをしていたのにザックの中の荷物がびしょ濡れになった経験はありませんか?ザックカバーは多少の雨はしのげますが、長時間の暴風雨になってしまったらほとんど役に立ちません。ここでは私が暴風雨を経験したことを元に「ザックも荷物も極力濡らさない方法」をご紹介します。

雨からザックを守るザックカバーは実は万能ではない

ザックカバーとは、雨の日、ザック本体に外側からすっぽり被せるカバーのことを言います。大抵のザックには付属品として付いていますが、中には付いていないザックもあります。付いていない場合は、店員さんから別売りを勧められることもあります。

ですが、ザックカバーを付けていれば大丈夫!とも言えません。もちろん少量の雨程度ならザックが濡れるのを防いではくれますが、暴風雨になってしまったらもうお手上げです。ザックカバーはザックの本体に被せるだけなので、ベルト部分やウェストポケット、背中とザックのすき間から背面を伝って雨は入ってきてしまいます。しかも、カバーを本体にしっかり固定していないと風で簡単に外れます油断しているとザック本体も中の荷物もびしょびしょになってしまいます。

ザックの中の荷物を濡らさない対策は?

じゃあどうしたらいいの?って思いますよね。ザック本体の防水も大事ですが、中の荷物を濡らさない事が最優先なので、まずは中の荷物を雨から守るための対策法を知っておきましょう。

ザックの中にスタッフバッグを入れて防水しよう

インナーバッグ

ザックの中の荷物を濡らさない方法は、ザックの中に防水スタッフバッグを入れることです。インナーバッグとも言います。スタッフバッグを使用した防水対策は、登山の世界ではもはや常識となっています。口がロールトップ(折りたたんで留めるタイプ)だと安心です。その中に濡らしたくない荷物の全てを入れます。厚手のビニール袋でも代用できます。ザックを開けた時にワンアクション増えてしまいますが、荷物が濡れるよりはマシです。

左:シートゥサミット50L、中:EXPED22L、右:キャラバン20L

上の写真は私が使っているスタッフバッグです。ザックの容量や形によって使い分けています。

スタッフバッグはナイロン製のスベスベした薄い生地で出来ていて、縫い目にはシームレステープが施され完全防水となっています。入口はロールトップ式になっており、上からの雨の侵入を防いでくれるので安心です。できるだけ薄手のものを選ぶことで軽量化(U.L.)が可能です。

大きさはザックよりも少し大きめのものを選ぶのがポイントです。スタッフバッグが小さいとザックとの間に隙間ができて、ザック容量分の荷物を入れることができなくなります。

スタッフバッグは結構お値段がいいので、ゴミ袋でも代用できます。ただ、使っているうちに穴が開いてくるので性能的には不十分。山小屋でガサガサ音が気になることもありますので注意が必要です。

電子機器には防水ケースを使おう

aLOKSAK防水マルチケースXSサイズ

絶対に濡らしたくないカメラ、スマホ、バッテリーなどは、防水ケースに入れます。

カメラ、スマホなどは雨に濡れると故障することがあり、高価なものだけに大きな痛手を被ってしまいます。私も過去にデジカメを雨で死なせてしまったことがあります。

防水ケースはジップロックでも代用できます。ただ、使っているうちに穴が開いてくるので、頻繫にチェックするようにしましょう。

aLOKSAKは私がもう何年も使っている防水ケースです。アメリカ食品医療局(FDA)とアメリカ国立科学財団(NSF)の認証済で、気温―40℃まで耐えられ、スマホのタッチパネル利用も可能です。サイズ展開も豊富でしかも丈夫。大事な貴重品も防水ケースで守りましょう。

ザックカバーのかしこい選び方

ザックの中の防水対策をしたうえで、最後にザック本体をザックカバーで覆います。つまりダブルで防水するのです!

ザックカバーを選ぶ時は、以下のことに留意しましょう。

何らかの方法でザック本体と繋がっている

参考例:ミレーサースフェーのザックカバー

ザックに最初からザックカバーが付属している場合、収納時だけでなく、使用時にも本体とザックカバーがベルトなどで繋がっていると、強風時にザックカバーが飛んでいくのを防ぐことができます。ザックを購入する時のチェック項目にもなります。

ザック本体のどこかに固定ができる

参考例:ISUKAデイパックカバー(別売り)

別売りでザックカバーを購入する場合、ザックカバーはザックに繋がっていません。なので、写真のようにベルクロでショルダーストラップに巻き付けられるか、またはザックの胴体にベルトで巻きつけられるかチェックしましょう。強風時の紛失を防ぐために必要です。

▶水抜き穴がある

ザックカバーには通常、雨を排水するための水抜き穴があります。これがないと、雨がカバーの内側で溜まってしまいます。安価なザックカバーでたまに水抜き穴が無いものがあるので、購入する際は水抜き穴が付いているかチェックしましょう。ちなみに、水抜き穴は下にして使用します。

ザックカバーの便利な使い方

おまけで、ザックカバーはザックの防水対策の他、以下のような便利な使い方があります。

雨具の一時保管場所 雨の中を歩いた後、ザックカバーを裏返し、濡れたレインウェアやタオルなどを包みます。別にビニール袋を用意する手間が省けます。

着替えや仕分けしたいものなどをまとめて入れておく テント内や小屋泊で、明日の着替えを入れて枕元に置いたり、貴重品をまとめて隠しておいたりできます。

ザックを地面に置いた時に泥汚れからザックを守ることができます

ザックカバーも使い方次第で、便利に活用することができますのでお試しください。

雨の日におススメのザックは?

荷物を濡らさない対策はできたけど、できればザック本体も濡らしたくないですよね。ザックそのものが濡れてしまうと、ザックの生地によってはすぐに乾かず、重量が増し、あとの行程が苦行になってしまいます!「ザックは濡れてもいい。中が濡れなければ」と言う方もいますが、もし次の日が晴天だった場合、濡れたザックで着ている服が濡れてしまいます。

以下は、私が豪雨でザックを濡らした時に気付いたことです。

  • ザックカバーをしていたのに、背中から浸水
  • ザックカバーの水抜き穴は豪雨では役に立たない
  • ヒップベルトのポケットの中身がビショビショ
  • 高機能で生地が厚いザックほど濡れた後の乾きは悪い
  • ザックの背面クッションが厚いものは中に水が溜まりやすい
  • 濡れたザックは山小屋に持ち込めない事がある(カビの原因になるため)
  • 山小屋の乾燥室ではザックは完全には乾かない

それ以来、私は真剣にザック本体の防水対策を考えるようになりました。

撥水性・防水性のあるザックを使おう

雨の日には、ザックの素材は撥水性・防水性のあるものを選ぶのがいいでしょう。素材だけでなく、ザックの形状、厚み、防水ジッパーの採用など、雨の侵入を防ぐ工夫のされているザックは結構あります。

タウン用の防水ザックは、素材が厚くて重いものがあるので登山ではあまりおススメしません。

総合して次のようなザックが雨の日には向いていると言えます。購入する際の参考にしてください。

  • 防水性のある素材で出来ている。→X-PAC、ラミネート処理済み、沢登り用ザックなど。
  • 保水しにくい生地で出来ている。→もし濡れてしまっても、薄くて乾きやすい素材。
  • ロールトップ方式である。→水の侵入を防いでくれる形状なので、雨が浸み込みにくい。
  • ウェストベルトや背中のパッドが厚すぎない。→押せば水が滴るって嫌でしょ?
  • 止水ジッパーがある。→防水加工されたジッパーなので、雨が浸み込みにくい。

また、ウェストポケットはザックカバーでは覆いきれませんので、雨の日には中にモノを入れないようにしましょう。

雨の日におススメの防水性の高いザック2選

<マウンテンハードウェア/スクランブラー35>

素材のすべてがX-PACで作られているバックパック。高い防水性と軽量化の実現でロングセラーになっています。登山、ロッククライミング、沢登りに使える万人向け。一回り小さい25もあります。

<アコンカグア/イグアス 23L+7>

完全防水を謳っているだけあって、無駄な外付けがなく、左右に防水ジッパー付きのポケットがあるのみ。ロールトップ式で雨の侵入を防ぎます。しかも軽量。

アタックザックを使うのもオススメ

オスプレイ ウルトラライトスタッフパック18L

そもそもザックを使わない!という方法もありますよ。荷物の少ない日帰り登山や、メインザックを山小屋やテント場にデポできる場合は、アタックザックを使うのも手です。悪天候の山頂直下でこれからピークハントに行く場合、アタックザックとメインザック、どちらのザックを持って上がろうか迷うことがありますが、迷わずアタックザックを選びましょう。大切なメインザックが濡れてしまったら大変です。

アタックザックは薄手なので雨に濡れても乾きやすいです。最初から濡らすことを前提にしましょう。同じ濡れるのでも、大きなザックよりアタックザックのほうが確実にあとが楽です。ザックカバーは付けずに、中身はスタッフバッグで防水しましょう。

アタックザックを使った後は、乾燥室や屋内で鼻歌交じりで乾かしましょう。乾かす場所がない時は、タオルで水気を取り、ビニール袋に入れてコンパクトに持ち帰りましょう。帰り道はメインザックでルンルンです。

雨の日におススメのアタックザック3選

アタックザックについては、以下の記事も参考にしてみてくださいね。

まとめ

今回は雨の登山で、出来るだけ荷物やザックを濡らさず快適に過ごす対策法をご紹介しました。

  • ザックの中はスタッフバッグで防水、ザックの外はザックカバーで防水(ダブルの効果)。
  • ザック本体をできるだけ濡らさないよう、撥水性・防水性の高いザックを選択肢に入れてみる。
  • 山行スタイルによっては、濡れても乾きの早いアタックザックを活用する。

良かったら参考にしてください。

完璧に防水することはなかなか難しいですが、大事な荷物やザックを極力濡らさないために、今できることを考えてみましょう。

それではこれからも楽しい山登りを!

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