登山をする上での必需品に救急セット(ファーストエイドキット)があります。もしもの時のケガや体調不良時に役立ちます。でも、どんな入れ物に何を入れておけばいいのでしょうか?初めて準備する方のために、私が実際に使っているケース、揃えている中身をご紹介します!
ケースを選ぶポイントは?
まずはケース(ポーチ)をどのようなものにしたらいいのか悩む方がいるかもしれません。初めて買うのであれば、中身も一緒に売られている商品もあるので、手っ取り早くていいと思います。ですが、そのうち使わないものが出てきたりします。
最終的には自分が必要なものだけをカスタマイズすることになるので、どちらかと言えば中身よりケースのほうを拘ってほしいなって思います。
私なりに、ケース選びのポイントをまとめてみました。
ポイント① 一目見て救急セットだとわかるもの
よく見るのは、赤に白の十字マークですね!自分がケガをした時、もしかしたら他の人にザックから救急セットを出してもらうことがあるかもしれません。誰が見ても一目でわかるような入れ物にしておけば、時間の短縮につながり、処置も早く始められます。
ポイント② 軽くて丈夫なもの
登山において、重さは重要。1gでも軽い素材を選ぶのがおすすめです。また、すぐに穴が開いてしまうようなビニール素材は避けたほうがいいでしょう。
ポイント③ かさばらない素材
山行形態(日帰りか泊りか)や季節(夏か冬か)によって、中身の量を増やしたり減らしたりすることがあります。ハードケースなどの大きさが決められた素材のものより、ある程度厚さが変化する柔軟性のあるものがおすすめです。ザックの中に無駄な空間は作りたくありません。
ポイント④ 中身が取り出しやすいもの
開口部が観音開きになる、一目見て全体が見えるものがおすすめです。一刻を争う時に、巾着型のスタッフバッグや、奥が深くて中が見えない封筒型はイライラしちゃうのでおススメ出来ません。
ケースの大きさはどれくらいのものがいい?
自分がどのような山行をするかによって違ってきます。日帰りなのか泊りなのか、ハイキングなのか登山なのか、など考えた時に、大きすぎても小さすぎても使いづらいです。
実は、私は2回買い物に失敗しています(^^; 大きさがイメージできなかったんです。

私の所持品です。左からLIFE LINE(S)(16×8×4cm 重量117g)、ドイター(18×11×5cm)、モンベル(18×11×7.5cm 重量80g)です。

横から見ると厚みはこんな感じです。

最初に買ったのはLIFE LINE(S)でした。中身が付いているタイプでしたが総入れ替えしました。中はこんな感じですがちょっと小さ過ぎて失敗でした。しかもハードケースだったので、たくさん入れるとジッパーが閉まらないし、開けると中身が飛び出すし、私には使いづらかったです。日帰りハイキング用に格下げになりました(笑)

次に購入したのがモンベルのファーストエイドバッグSになります。中は防水性の高いジッパー付きの部屋と、小分け用のインナーポーチが付いています。バッグ自体がトレーになるということと、防水機能が売りです!が、私には大き過ぎました。厚みが結構あるので、ザックの中で意外と場所を取るんですね。また、ジッパーの開きが狭くて取り出しにくいこともあり使わなくなりました。

最後に買ったのがドイターのファーストエイドキットです。中は、ジッパー付きの部屋と、ネット状のインナーポーチ、3つの仕分け収納ポケットが付いています。素材はナイロン、ポリエステルで防水機能はありませんが、パッと見てどこに何があるのか分かることと、中身の量によって、フレキシブルに膨らんだりコンパクトになったりするのが一番気に入った点です。サイズも私にはピッタリで、現在は日帰りも泊りもこれを使用しています。
救急セットの中身を紹介

次に、自分でカスタマイズした私の救急セットの中身をご紹介します。2020年に一度UPしましたが、これは2年後にカスタマイズし直したものです。追加したものに★印がついています。
- 三角巾 何にでも使える万能選手。骨折の固定とか止血帯にも。
- 伸縮ほうたい テープの要らない伸縮性のある包帯が便利。
- 非伸縮テープ いろいろな固定に使えます。
- キネシオテープ 足首や膝に痛みが出た時の応急処置用。テーピング技術も習っておこう。
- とげぬき&ハサミ トゲを抜いたり、何かを切ったり。
- 鼻ぽん 鼻血が出た時用に。
- マダニ取り器ティックツイスター★ マダニを取るための道具。マダニが吸血して大きくなっていないと使用できない。
- カットガーゼ 負傷箇所を覆うためのガーゼ。
- ポイズンリムーバー 蜂やアブに刺された時、毒の吸い出しに使用します。
- 冷感湿布★ 捻挫や骨折時の消炎鎮痛剤。救助が来るまでの応急処置として使用。
- ジェル冷却材★ 発熱時や患部の冷却に。救助が来るまでの応急処置として使用。
- ティッシュ 止血、汚れふき。
- 絆創膏 靴づれ、ケガ用に大きさいろいろ。
- 常備薬 頭痛薬、鼻炎薬、整腸剤など。
- 芍薬甘草湯 登山者のお守り的な漢方。足がつった時に飲むと5分で効きます。
- 軟膏 虫刺されにはステロイド剤が入ったものがおススメ。ムヒアルファEXが良き!
- 目薬 目の中に入ったゴミを取る。
- ビニール袋★ 手当後のゴミ袋に1枚あると便利。
- ビニール手袋★ 感染症予防のため、他人の血液は触らない事。
※そのほかに輪ゴムがあると何かと便利です。洗浄用にペットボトルの水もお忘れなく!

⑨のポイズンリムーバーと、⑬~⑰の絆創膏、薬類はすぐに取り出せるよう、エマージェンシーキットに入れずにザックのポケットやサコッシュなどに入れておきます。特にポイズンリムーバーは時間が勝負です。3分以内に治療が始められるよう準備しておきましょう。
絆創膏のオススメはこれ!

出血を伴う擦り傷や切り傷に
出血を伴う怪我をした場合、今は湿潤療法での治療が主流です。湿潤療法とは、体液を保った状態で患部を防水性のある絆創膏で密閉し、かさぶたを作ることなく綺麗に早く治癒させる方法です。
貼る前にまず患部の洗浄を行いますが、最近は消毒薬を使わずきれいな水で洗い流します。水分をふき取ったあと絆創膏を貼ります。絆創膏は体液を吸いふくらみますので、体液があふれてきそうになったら何度か貼り替えます。完全防水なので水に濡れても大丈夫で、最長5日間貼り続けられます。痛みも少なく、クッション素材で衝撃を吸収してくれるので、登山にも向いています!

湿潤療法におススメの絆創膏は、BAND-AIDのキズパワーパッドです。様々な部位に合わせた形状があり便利です。3種類くらいの大きさのものを用意しておけば安心です。中でも靴づれ用は出番が多いです。
また、自分で切って使えるタイプもありますよ。ハサミで好きな大きさに切れるので、コスパがよく形に悩まなくて済みます。
足の爪の保護に
山を歩いていると、足の爪のトラブルって多くありませんか?靴が合わなくて爪を黒くしてしまったり、割ってしまったり、出血はしていないけど爪が剥がれそうで気になってしまったり!傷めている爪をかばいながら歩くと、他の場所に力が入ってしまい、足全体に影響を与えてしまうこともあるので注意です。
▶ニチバンケアリーヴ指先用

足の爪の保護におススメなのが、ニチバンのケアリーブ(指先用)です。形が指先にピッタリなんですよ。手と足の両方に使えます。柔らかい素材なのでガサつかず、靴下を履いても違和感が殆どありません。しかも防水。汗をかきやすい足にもしっかりフィットしてくれますよ。
【使用事例】

私の足で恐縮です(^^; 分かりにくいかもしれませんが、親指の爪が変形して、半分剝がれかかっています。痛みはほとんどないですが、登山中に靴下や靴の刺激を受けて、悪化しないとも限りません。これからケアリーブを巻いて保護してみたいと思います。

まず、下半分の台紙を剥がします。絆創膏の中央にパッドがあるので、そこが爪の上に来るように下半分だけ貼ります。

次に、上の台紙を剥がし、親指の裏に巻き付けるように貼って行きます。絆創膏は柔らかいので、変な所にくっつかないよう注意します。

最後に、左右の飛び出た部分を手前に向かって貼って出来上がりです。
絆創膏にありがちなすっぽ抜けがなく、しっかり保護してくれています。爪が伸びるまでは約1ヶ月かかるということなので、長期の保護になってはしまいますが、何度か絆創膏を貼り変えながら無事完治しました。
キネシオテープのおススメはコレ!
▶プロ・フィッツ キネシオロジーテープ

キネシオテープとは筋肉や関節の動きをサポートしてくれたり、ブレを防いでくれるテープです。疲労や痛みがある時にも使います。陸上アスリートをはじめ登山・トレラン者もよく貼っていますよね!様々なメーカーから販売されていて、太さや色もいろいろあります。足に合うのは幅50mmのタイプ。撥水伸縮性があり、肌に優しい素材がおススメです。自分で好きな長さに切って使うものが主流です。
▶new-HALE V-Tape
こちらは初めからカットしてあるテープになります。自分でカットするテープは、貼る部位によって長さを変えなければならないのですが、これはひとつで膝、腰、ふくらはぎ、肩に使えるという優れもの!いや~、便利になりました。思わず買ってしまいましたよ!これは初心者の方や、簡単にテーピングをしたい方におススメです。

新発想のV型形状がふくらはぎ・膝・肩・腰への使用を可能にした、ニューハレから誕生した手軽にすぐ貼れるカット済みV型テープ。ニューハレはプロスポーツや医療分野で、長年使用されている安心と信頼の品質ブランドです。田中陽希さんも使用していましたね!2枚入り、6枚入り、20枚入りがあります。
- 薬は時々消費期限をチェックしましょう。
- 毎回、中身を確認し、不足しているものがあれば補充しましょう。
- 季節に合わせてカスタマイズしましょう。ポイズンリムーバーや虫刺され軟膏は冬には外しています。
- 万が一病院にかかった時のために保険証のコピーも携帯しましょう。
ポイズンリムーバーについてご興味のある方は、こちらの記事をどうぞ。
マダニ取りティックツイスターについてご興味のある方は、こちらの記事をどうぞ。
まとめ
いかがだったでしょうか?エマージェンシーキットについて少しでも参考になれば幸いです。
自分自身、大きなケガはまだありませんが、足首を痛めて山小屋でキネシオテープを巻いたことがあります。また、高山では頭痛や便秘になりやすいので、鎮痛薬や整腸剤は忘れずに持って行きます。
先日、動画サイトで登山中の遭難事故(骨折)の様子をたまたま見つけ、その時の応急手当が非常に参考になりました。同時に、もし同行者が捻挫や骨折をして歩けなくなってしまったら、救助が来るまで自分は何ができるんだろうと考えてしまいました。副木の代用としてトレッキングポールの持参はもちろんですが、少しでも痛みをやわらげてあげられるキット(湿布・冷却剤・痛み止め薬)があるとなお安心ですよね。
救急セットは使わないに越したことはありませんが、もしもの時のためにも忘れずに持って行きましょう。
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