2019年9月初旬、なだらかな八方尾根を歩き、唐松岳(2,696m)に登ってきました。唐松岳は高山植物の宝庫で、途中には雪渓や八方池など見どころ満載です。何と言っても白馬三山の眺めが素晴らしい!宿泊した唐松岳頂上山荘も合わせてレポします。
唐松岳の詳細
北アルプスの中でも手軽に登れる山として人気の高い唐松岳。白馬連峰の南側に位置し、ゴンドラやリフトを乗り継いで一気に標高1,830mの登山口まで行くことができます。
登山口から唐松岳までは、標準行程4時間20分。日帰りも可能ですが、山頂近くの「唐松岳頂上山荘」に一泊して、ご来光を見るのもおすすめです。
八方尾根の途中にある「八方池」は、カレンダーでも見たことのある人は多いと思いますが、水面に映る白馬三山の美しさに、思わず感動のため息が漏れるほど。ハイキング装備でここまでは容易に来れるので、大勢の人で賑わいます。
「八方池」から上は登山装備がないと登れませんので、人混みも一段落して静かな登りが始まります。とは言っても、そこはすでに標高2,000m。危険箇所はないですが、ガレ場も出てきますので慎重さが求められます。
唐松岳登山レポ
八方池山荘登山口へのアプローチは4ラインありますが、その中で最速で到着できるのが八方アルペンラインです。
アルペンラインは八方ゴンドラリフト「アダム」、アルペンクワッドリフト、グラートクワッドリフトの3本を乗り継いで標高差1,060mを一気に登り、わずか40分で標高1,830mの八方池山荘登山口へ到着することができます。
アルペンライン料金は、大人2,980円(往復)で、営業期間は、2020年6月1日から2020年10月25日です。(年度によって多少違いあり)
お得な白馬八方温泉券付きパックもあります。
八方温泉+アルペンライン | 料金 | 利用可能温泉施設 |
大人 | 3,480円 | 八方の湯、郷の湯、みみずくの湯、おびなたの湯 計4施設から1施設を1回利用可能 |
20代の頃、八方尾根スキー場には良く来ていましたが、当時はスキー場の上にこんな素晴らしい世界があるなんて、夢にも思いませんでした。
八方池山荘登山口~八方池
いよいよ登山開始です。八方池山荘登山口から八方池までは、しばらくなだらかな登山道が続きますが、蛇紋岩のため滑りやすいので注意しましょう。
木道がよく整備されていて歩きやすい道です。観光客は靴が汚れずに歩けますね。前日まで長雨が続いていたのですが、この日前線が南下し、日本海側は晴れたんですよ!
すぐにミネウスユキソウ(エーデルワイス)が拝めました!
八方池までは八方山ケルン、第2ケルン、八方ケルン、第3ケルンと多くのケルンがあります。ホワイトアウトでは心強いですね!八方山ケルンにはトイレがあります。
遠くには白馬の山々が見えてきていて、テンション上がりまくりです!
こちらが有名な八方池になります!この写真は2日目の午前中なのですが、ガスが多くて白馬三山が水面に綺麗に写り込んでくれなかったのが残念です。
可愛らしいマツムシソウ。
チングルマの綿毛。
他にもウメバチソウ、オヤマリンドウ、シモツケソウなどたくさんの花が咲いていました。
高山植物については、以下のページでまとめています!
八方池~唐松岳頂上山荘
八方池を見下ろした図。八方池から上はゴロゴロした石が多く、注意が必要です。
蛇紋岩地帯が終わり、急にダケカンバ雑木林出現。「植生の逆転」現象だそうです。「下ノ樺」と「上ノ樺」に分かれており、ここだけ太陽が遮られて涼しいです。
上ノ樺を過ぎると「扇雪渓」に到着です。北斜面は1年中雪が残っています。大きな石に腰かけて、しばし休憩します。
やがて最後のケルン「丸山ケルン」が見えてきます。8割がた歩いてきたところです。もう少し!
この辺りから「不帰嶮(かえらずのけん)」が眼前に迫ってきます。不帰嶮は切り立った岩稜のハードな山域です。この辺りは非常に景色が良いところで、疲れも吹き飛びます。雪渓が残っていますね。
遠くに見えた白馬三山。手前から白馬槍ヶ岳、杓子岳、白馬岳。あまりの美しさに魂持ってかれました(笑)。これはすごい!何より赤茶色と緑色のコントラストがステキです!多くの登山者に愛されている理由が分かるというもの。これを見たら、誰もが絶対あそこに登りたいと思うでしょう。
さあ、最後のラストスパートです。酸素薄く、かなり疲労感が来てます。
ガレ場を慎重に一歩ずつ。空気が薄いので慌てずマイペースで進みましょう。
ようやく唐松岳頂上山荘が見えました!もう一歩も歩きたくない。っていうか歩けない!
今夜はここでお泊りです!赤い壁が可愛らしいです。半面、何もない小屋廻りが燕山荘と対照的(笑) ベンチが欲しいなぁ。
唐松岳頂上山荘~唐松岳
唐松岳に登ったのは、2日目の早朝6:30でした。行程は行きが20分、帰り15分です。荷物は山小屋にデポして空身で歩くことができますよ。
振り返ると美しい稜線。頂上山荘はまるでおもちゃの家のよう。
よく見ると、テント場がかなり下のほうまであります。多分、上から埋まっていくと思うので、下のほうになってしまうと山小屋からはだいぶ離れ、上り下りが大変そうです。シーズンには混雑しますから早目の到着が吉ですね。
唐松岳山頂に到着です。山頂写真がこれしかなかったので露出失礼します。
三角点は記念に撮っておかないと!2等三角点です。そう言えば、唐松岳は300名山なんですよね~。
南方向には五竜岳(2,814m)の雄姿。
北方向には不帰嶮から白馬三山への縦走路が。
西南方向には劔立山。
見下ろせば雪渓のV字谷。
思わずパノラマ撮ってしまいました。いつまでも眺めていたいほどの絶景です!
帰り道にホシガラスと遭遇しました。このサイトのTOP画像にも使っています。ハイ松の実を一生懸命食べていましたよ。鳴き声はあまり可愛くないんですけどね、、
唐松岳頂上山荘レポ
ここからは唐松岳頂上山荘の内部をレポしてみたいと思います。
唐松岳頂上山荘は、創業昭和7年の歴史ある山小屋です。本館・北館・南館に分かれていて、北館が新しいようです。かなり大きな山小屋です。
受付は本館にあります。時間が遅いのでCLOSEしてます。
【利用料金】2020年 一人当たり
料金 | |
1泊2食 | 11,000~ |
素泊まり | 8,000~ |
唐松キャンプ場 テント利用 | 1,300 |
宿泊者以外は、トイレ300円、休憩(食堂・トイレ)500円
【水】
飲み水はペットボトル500ml(300円)が自販機で売られています。ここで購入したペットボトルは回収してくれます。それ以外は持ち帰ります。
【トイレ】
各館に1ヶ所ずつ洋式水洗トイレがあります。トイレは綺麗で臭いもありません。ペーパーは備え付けのごみ箱に捨てます。
【携帯電話】
比較的docomoが繋がりやすいようです。私のdocomoは繋がりました。北館は各部屋にコンセントがあるので充電できますよ。(本館は未確認)
【売店】本館玄関の脇にあります。ウェア、靴、装備品、バッジなど売っています。中で珈琲を淹れているのがご主人です。
【宿泊棟】北館に宿泊したので北館しかご紹介できません。北館は本館からいったん外に出てちょっと歩きます。靴は玄関で脱ぎ、下駄箱へ入れるようになっています。玄関に自販機あります。
中は2階建ての蚕棚式でカーテン付きです!女子には嬉しいですね。この日は半分ほどの宿泊者でした。とても静かで足音が響かず、快適でした。
一番奥には男女別の水洗トイレと、共同洗面所があります。洗面所の蛇口からは天水しか出ませんので、歯磨きはペットボトル水を持参するか山小屋で購入しましょう。
【室内】上の階の様子です。4畳を3名で使用したので余裕です。敷布団、掛布団が1枚ずつ、枕はそば殻でした。シーツ類はありません。
棚があり、荷物が置けますので便利です。窓からは唐松岳が見えました。枕が8個あったので、混雑時には8名詰め込まれるんでしょうね。。
この山荘は個人は予約なしでもいいそうです。
【食堂】食堂は本館にあります。結構広いです。夕食が終わると、ここはそのまま談話室になります。雑誌もありました。
夕食は17時20分でした。(2回転目)
紙プレートにハンバーグ、鰆の焼き魚、菜の花としめじのお浸し、サツマイモ煮、煮豆、ご飯と味噌汁。高山のせいか食欲がなかったのですが完食しました!ごちそうさまでした。
食事中、山小屋ご主人の挨拶がありました。とてもやさしそうな方でした。
消灯は20時半くらい?廊下は一晩中灯りがついていたように思います。夜は寒いかと思いましたが、結構暑かったです。しばらく天候が良くなかったのか、掛け布団が湿っぽかったので持参したインナーシーツを使いました。持ってきてよかった!
2日目の朝です。気温はわずか6℃!寒ッ!!!真冬並みの寒さです。フリースの上にレインウェア、手袋、ウールの帽子をかぶって外に出ました。
日の出は5時10分。残念ながら雲が意地悪するように邪魔して、きれいな太陽が出てきませんでした。でも、天井の雲に朝陽が当たってとても幻想的!綺麗だなぁ。
なんと!反対側の山がちょっとだけモルゲンロートでした!
山小屋に戻り朝食をいただきます。朝食は5時45分。温かい味噌汁であったまる~。
唐松岳頂上山荘は、展望の良い快適な山小屋でした!
日帰り温泉情報
八方尾根の麓には白馬八方温泉があります。源泉は、白馬槍ヶ岳(2,903m)直下、南俣川右岸にあり、4ヶ所の日帰り入浴、75軒の宿泊施設、3ヵ所の足湯にお湯を提供しています。
泉質は「アルカリ性単純温泉」(アルカリ性低張性高温泉)と分類されています。
日帰り温泉 | 八方の湯、郷の湯、みみずくの湯、おびなたの湯 |
足湯 | 薬師の足湯、和の湯、白馬駅前の湯 |
各施設の詳細については白馬八方温泉公式サイトをご覧ください。
八方の湯
4軒あるという日帰り温泉施設の中で、私が下山後に訪れたのは「八方の湯」。4軒の中でも一番大きい施設です。天然水素を含む露天風呂が特徴です。
中は広々としていて、お風呂も綺麗で気持ちよかったですよ!
入浴料金 | 大人800円 小人400円 |
営業時間 | 午前9時~午後10時(受付終了午後9時) |
浴槽 | 内風呂 露天風呂 男女各1 |
備品 | ボディソープ、シャンプー、リンス、ドライヤー タオル250円、レンタルタオルセット(大、小)350円 |
施設 | 八方茶屋(午前10時~午後8時) |
電話 | 0261-72-5705(午前9時~午後10時) |
住所 | 長野県北安曇郡白馬村北城大字5701-2 |
ただ、茶屋のメニューがあまりないので(うどん、おやき、ソフトクリームのみ)、がっつり食事をしたいならお隣のラーメン屋さんがおすすめです。
温泉らーめん八方美人
八方の湯と同じ敷地内にある「温泉らーめん八方美人」は、白馬八方温泉で練り上げた麺が自慢のラーメン屋さん。餃子もありますよ。
私が注文したのはしょうゆラーメン680円。だしの効いたあっさり系のスープが登山後の疲れた体に染みわたります。
唐松岳へのアクセス
唐松岳の麓は八方尾根スキー場なので、電車、バス、車でのアクセスは非常によく、下山後の日帰り温泉や買い物にも不自由しません。
最終降車口「白馬八方バスターミナル」には、バスチケット、グッズ販売、八十二銀行ATM、カフェ、モンベルショップ、更衣室、コインロッカー、手荷物預かりなどがあり大変便利です。ここで身支度を整えましょう。
【電車で行く場合】
東京駅から新幹線で
東京駅 ▶ 北陸新幹線 長野駅 ▶(特急バス長野・白馬線)▶ 白馬八方バスターミナル
新宿駅から特急あずさで
新宿駅 ▶ 特急あずさ松本駅 ▶ JR大糸線 白馬駅 ▶(路線バス白馬駅ー栂池高原)▶ 白馬八方バスターミナル
名古屋駅から特急しなので
名古屋駅 ▶ 特急しなの松本駅 ▶ JR大糸線 白馬駅 ▶(路線バス白馬駅ー栂池高原)▶ 白馬八方バスターミナル
「白馬八方バスターミナル」からゴンドラリフトアダム乗場までは徒歩10分。
【新宿から直通バスで行く場合】
新宿高速バスターミナル バスタ新宿 ▶ 高速バス「新宿-白馬線」 白馬八方 ▶ 白馬八方尾根スキー場
【車で行く場合】
関越道経由
関越自動車道 藤岡JCT ▶ 上信越自動車道 長野IC ▶ 国道19号線~白馬長野オリンピック道路 ▶ 白馬八方尾根スキー場
中央道経由
中央自動車道 岡谷JCT ▶ 長野自動車道 安曇野IC ▶ 北アルプスパノラマロード~国道148号線 ▶ 白馬八方尾根スキー場
駐車場案内
八方尾根スキー場内に、無料駐車場、有料駐車場が多数あります。詳しくは、HAKUBA HAPPO-ONE公式サイトをご覧ください。
まとめ
いかがでしたか?白馬連峰の中でも比較的楽に登れる初級者向けの唐松岳ですが、池あり、花あり、絶景ありと、様々な感動を見せてくれる楽しさてんこ盛りのお山でした!
唐松岳頂上山荘も居心地がよく、360度のパノラマも最高。また、唐松岳まで20分というロケーションが嬉しい。是非また訪れたい山小屋となりました。
機会があれば、紅葉の時期にも来てみたいなと思います。混雑覚悟で。
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