使用後のレインウェアのお手入れについて注意することをまとめました。レインウェアの防水機能は、洗濯をすることで維持できます。なぜなら汗や泥で汚れた状態、濡れた状態のままにしておくと、防水透湿素材の機能が低下してしまうんです。使用後はすぐに洗濯をしましょう。さらに適切なメンテナンスをすることがレインウェアの寿命を延ばします。
まずは洗濯表示を確認しよう
洗濯をする前に、衣類についている洗濯表示をまず確認しましょう。レインウェアの洗濯方法は、メーカーによって多少の違いがあります。その素材に適した取り扱いをしないと、生地が傷んだり縮んだりする原因になりますので気をつけましょう。
新しい洗濯表示の見方
皆さんは、洗濯表示がいつからか変わったことに気付かれていましたか?
従来、洗濯表示は各国で独自のものが使われてきましたが、繊維業界のグローバル化が進んだことから、繊維製品の取り扱いに関する国際規格(ISO 3758)が1991年に定められました。それに伴い、日本でも2016年12月1日より、国際規格に合わせた新しい洗濯表示が使われることになったのです。
以下は新洗濯表示記号になります。全部で41種類あります。これらは万国共通となっていますので、海外メーカー品を購入しても同じ表示なんですよ。
新しい洗濯表示は、消費者庁サイトの新しい洗濯表示の記号一覧「PDF」で、拡大してご覧いただけます。
レインウェアの洗濯表示を確認してみよう
上の表を参考に、手持ちのウェアを確認してみました。
こちらはモンベルのストームクルーザーの洗濯表示です。これによれば…
- 液温は40℃を限度とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる
- 塩素系および酸素系の漂白剤の使用禁止
- タンブル乾燥が出来る(排気温度上限80℃:強)
- 日陰の吊り干しが良い
- 底面温度110℃を限度して、スチームなしでアイロン仕上げができる(低温度)
- 石油系溶剤によるドライクリーニングができる
- ウェットクリーニングができる
とあります。
必要に応じて付記用語も記載されていますので、よく読みましょう。
こちらはマウンテンハードウェアのレインズボンです。
- 液温は40℃を限度とし、洗濯機で非常に弱い洗濯ができる
- 塩素系および酸素系の漂白剤の使用禁止
- タンブル乾燥が出来る(排気温度上限60℃:弱)
- 日陰の吊り干しが良い
- 底面温度110℃を限度して、スチームなしでアイロン仕上げができる(低温度)
- 石油系溶剤による弱いドライクリーニングができる
- 非常に弱い操作によるウェットクリーニングができる
とあります。
こちらはバーグハウスのレインズボンになります。
- 液温は30℃を限度とし、洗濯機で弱い洗濯ができる
- 塩素系および酸素系の漂白剤の使用禁止
- 底面温度110℃を限度して、スチームなしでアイロン仕上げができる(低温度)
- ドライクリーニング禁止
その他の付記用語がめっちゃ多いですね(^^;
「弱い」「非常に弱い」や「温度の違い」があるなど、それぞれに微妙な違いはありますが、私が所持しているレインウェアに関してはおおまかに次のことが言えます。
- 弱水流で洗濯機が使用できる
- 低温度でアイロンがけができる
- 低温度でタンブラーが使用できる
- クリーニングはできるものとできないものがある
- 漂白剤は使用できない
- 干すときは日影干し
皆さんもご自身のレインウェアの洗濯表示を今一度確認しておきましょう。
レインウェアの洗い方
レインウェアは手洗いや洗濯機で洗えるものがほとんどです!しかし、特殊な素材(ゴアテックスなど)を用いた防水透湿性のウェアなので、洗い方にいくつか注意点があります。適切な洗剤を使い、適切な洗濯をすることが大切です。
洗剤の選び方
どのような洗剤を使ったらいいか迷われるかもしれません。家庭にある洗剤なら中性洗剤を使ってください。デリケート衣類用のエマール、アクロンはお馴染みですが、アタックZERO、スーパーNANOXも中性洗剤です。蛍光剤配合、漂白剤入り、柔軟剤入りの洗剤は撥水機能を弱めてしまうのでNGです。
また、アウトドアメーカーが販売している専用洗剤もおすすめです。モンベル O.D.メンテナンス ベースクリーナー、ファイントラックのオールウォッシュ、NIKWAXのテックウォッシュは、ゴアテックスを含むアウトドアウェアやギアなどの繊維製品全般の洗濯に最適な洗剤となっています。市販の洗剤が心配な方は、こちらを使用するといいでしょう。
洗濯方法
それでは一般的なレインウェアの洗濯方法をご紹介します。洗濯機で洗える前提でご説明します。(洗濯機で洗えないウェアは手洗いをしてください)
①ウェアのジッパーや袖口のベルクロはすべて閉じ、ネットに入れてください。(衣類を傷つける恐れがあるため)
②洗濯コースは、弱水流またはおしゃれ着コースを選択します。すすぎは標準の2倍にセットし、洗剤成分が残らないようにします。
③規定量の洗剤を洗濯機に投入します。
④洗い→すすぎが終わったら、脱水はせずに取り出します。バスルームに一時的に吊り下げ、余分な水分をタオルなどで軽く除くと楽ですよ。
⑥風通しのいい場所で日影干しにします。または、乾燥機がOKなレインウェアなら、洗濯表示に従って乾燥機にかけましょう。
⑦日影干しした場合は、あて布をしてアイロンがけすることで撥水機能が復活します。乾燥機の場合は必要ありません。
やってみると意外と簡単ですよ。使った後は時間を置かず、すぐにお洗濯してしまいましょう。
撥水剤を使ったメンテナンス
レインウェアは、何度か使っているうちに次第に水を弾かなくなってきます。そういった場合は、撥水剤を使って撥水効果を回復させましょう。洗濯をして綺麗な状態になったところで撥水工程に進みます。一度乾かす必要はありません。
撥水剤には、つけ込みタイプとスプレータイプがあり、メーカーではモンベル、NIKWAXなどをよく目にします。使用方法はメーカーごとに異なりますので、使用する際は注意書きをよく読んでから使いましょう。
私はモンベルのS.R.ウォッシュイン(つけ込みタイプ)を使っています。つけ込みタイプはムラなく仕上がり、コスパもいいのでおすすめです(9着分)。スプレータイプは、洗えない登山靴やザックなどに使っています。スプレーをする時は屋外でしか使えないので注意してください。
モンベル撥水剤の使用方法
撥水剤使用量目安:ジャケット1枚/水15Lにキャップ5杯(32ml)
▶洗濯機使用の場合
- 脱水前の洗濯槽にもう一度水をためて、撥水剤を入れ、衣類を浸します。
- 10分ほど洗濯機を回した後、脱水します。すすぎはしないでください。
▶手洗いの場合
- たらいに製品が浸かる程度の水またはぬるま湯と本製品を入れ、かき混ぜます。
- 衣類を投入し、撥水剤が浸み込むように優しく揉み込み、10分ほどつけおきします。
- 手で絞るか、洗濯機で脱水し、余分な水分を取り除きます。すすぎはしないでください。
▶乾燥方法(洗濯機・手洗い共通)
- 衣類の洗濯表示に従って、乾燥機で1時間ほど乾燥、またはドライヤー、アイロンを使用してください。自然乾燥の場合は、48時間乾燥させてください。
- アイロンはあて布をし、強く押さえつけず円を描くようにあててください。スチームは使用しないでください。
NIKWAX撥水剤の使用方法
NIKWAXには、TX.ダイレクトウオッシュイン(つけ込みタイプ)と、TX.ダイレクトスプレー(スプレータイプ)があります。細部まで撥水効果を行き渡らせるには、つけ込みタイプをおすすめします。
TX.ダイレクトスプレーは、ウェア等の裏地に吸湿性生地が使用されている場合に、表面のみに撥水加工を施す事が可能です。※TX.ダイレクトWASH-INの代用不可。
出典:evernewオンラインショップ
公式サイトに洗浄から撥水加工までの動画がありましたので、参考に貼っておきます。
▶洗濯機使用の場合
- 洗濯後の濡れたままのウェアを投入します(最大2着まで)
- 水量35L前後で、標準コース(脱水なし)を選択します。
- 水が溜まったら洗濯機を一時停止し、T.X.ダイレクトウォッシュインをよく振り、300ml(ボトル1本)を投入します。
- 洗濯をスタートさせます。終了後、余分な撥水剤が付いていないことを確認し、付いていたら再度すすぎを行います。
▶手洗いの場合
- たらいにぬるま湯6Lを入れ、衣類を浸します。
- ダイレクトウォッシュインを50ml(キャップ1杯)入れて撹拌し、全体に行き渡った後、衣類を10分ほど浸けておきます。
- 時々、ウェアを動かしながら撹拌します。
- 水が透明になるまで2~3回すすぎ、撥水剤を洗い流します。
▶乾燥方法(洗濯機・手洗い共通)
- ウェアの洗濯表示に従い、乾燥機を使うか、自然乾燥させます。
※アウトドア用品は常に新商品が開発されますので、ご紹介した商品が旧製品の場合もあります。ご了承ください。
レインウェアの保管方法
大切なレインウェアを長く快適に使用するためには、洗濯やメンテナンス同様、正しい保管方法も大事ですので覚えておきましょう。
【ハンガーに吊り下げて保管】
レインウェアを畳んだままにしたり、スタッフバッグに入れっぱなしにしていると、余分な水分の逃げ道がなくなったり、折り目ができてしまったりと、生地を傷める原因になります。レインウェアはハンガーに吊るして保管するようにしましょう。
【高温多湿・直射日光は避ける】
車庫や物置などの高温多湿な環境に保管するのはやめましょう。また、直射日光も生地を傷めてしまいます。陽の当らない涼しい場所に保管しましょう。
【防虫剤・乾燥剤は直接触れないようにする】
クローゼットの中を快適に保つ防虫剤、乾燥剤、消臭剤がありますが、レインウェアは薬品に直接触れないようにしましょう。
まとめ
レインウェアは登山において最も重要な衣類です。お値段もそれなりに高いので、大事に長く使いたいですよね。そのためには使用ごとの洗濯やメンテナンスがとても大切です。
以前、登山でご一緒した方のレインウェアが大雨の中、まったく撥水が機能せず、中までビショビショになっておりました。聞けば「10年ぶりにタンスの中から出してきた」とのこと!驚きました。レインウェアの寿命も知りたいですが、メンテナンスもきっとされていなかったのでは?と思いました。
レインウェアの撥水機能が駄目になると、最悪の場合、低体温症になり命にもかかわるので怖いです。メンテナンスって本当に大事なんだなぁと、この時痛感しました。
今一度、ご自身のレインウェアの状態を確認し、適切なメンテナンスをしてあげてくださいね!
レインウェアの収納袋を使わないたたみ方についての記事はこちら↓
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