【調理器具】初心者必見!知らないと怖い シングルバーナー使用時の注意点

シングルバーナー注意点 山の道具
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普段、登山やキャンプで何気なく使っているシングルバーナー。初心者でも簡単に取り扱いができて、料理を作るのにとても便利な調理器具ですが、決められた使用法をきちんと守らないと深刻な火災事故を引き起こす危険があります。事前に正しい使用方法を知って、予期せぬアクシデントを未然に防ぎましょう。

事故が多いシングルバーナーのタイプは?

シングルバーナーは大きく分けて一体型と分離型があります。どちらのシングルバーナーにも事故の可能性はありますが、中でも一体型(ガス缶に直接バーナーを接続して使うタイプ)のほうが多い印象です。製品自体は十分安全性を考慮して作られているので、正しい使い方をすればまったく問題はありません。問題なのは、間違った使い方をする使用者のほうです。特に、使い始めたばかりの初心者は、バーナーの基礎知識を理解していない人が多いため、事故の発生率が高まります。

シングルバーナーはガスを使った火器です。正しい使用法をマスターして、事故のないアウトドアを楽しみましょう。

シングルバーナーの事故原因 具体例

ここからは、過去に実際に起きた事故を例に挙げて、ガスバーナーをどのような状態で使ったら危険なのかをご紹介します。そしてそれを防ぐためにはどう対策したらいいかも合わせてご提案します。私も実際にやってしまった失敗例があります。悪い見本になってしまいますが、参考にしてください。

転倒させてやけど

シングルバーナーの直立型を使って不安定な場所での調理を行い、ガス缶とクッカーを転倒させてしまって料理がオジャン。

OD缶にバーナーを取り付ける一体型(特に直立型)のシングルバーナーは、土台が不安定な傾いた場所では転倒しやすく、注意が必要です。直立型は地面から五徳までの距離が長く、重心が上に行きやすいためです。火が付いた状態で倒れると下に敷いたマット類が焦げたり、引き起こした際に手にやけどをしてしまうので気をつけましょう。

また、五徳に乗せたクッカーは大変滑りやすく不安定。熱い汁などが入ったクッカーを倒すと、やけどをすることもあります。

実は、私がやった失敗はこれです。シングルバーナーを少し傾いた状態で使用してしまい、ホットサンドメーカーごと倒してしまいました。ホットサンドメーカーはクッカーに比べてバランスをとるのが難しいんです。幸い、すぐに起こしたためマットを少し焦がしたくらいで済みましたが、危うくやけどをするところでした。

教訓と対策

登山では、斜面で調理をするのは危険。石が多い場所もガス缶がガタついて不安定になりやすいです。なるべく水平な場所を選ぶこと、ベンチなどのテーブルを使うスタビライザーを使用するクッカーの取っ手を持つなど、転倒対策をして調理をしましょう。

プリムス クッカーイージークックNS・ソロセットM

▲クッカーを選ぶ際には底を見てみましょう。私が持っているプリムスクッカー イージークックNS・ソロセットMは、底面に溝が掘ってあり、シングルバーナーに乗せてもずれにくいのが特長です。本体ポットには注ぎ口もついていて使いやすく、OD缶250・110サイズがすっぽり入る大きさ。おすすめです!

SOTO スタビライザー

▲登山者にとって、ガス缶の底にはめて使うスタビライザー(カートリッジホルダー)は必需品!安定感が違います。私が持っているSOTO純正スタビライザーは、OD缶250・500とCB缶に対応可能。ただ、OD缶110には対応していないので、購入を検討しているならプリムスのカートリッジホルダー(OD缶110・250・500とCB缶に対応)がおすすめ。

輻射熱で爆発しやけど

■一体型のシングルバーナーで、大型の鉄板を使って長時間調理をしていたところ、ガス缶が爆発した。

一体型はガス缶が炎に近いため、径の大きなフライパンや鍋、鉄板などを使うと、熱の逃げ場がなくなってしまい、必要以上にガス缶をあたためてしまう輻射熱を発生させます。結果、ガス缶の中のガスが圧力を増して膨張し、最悪の場合爆発する危険があります。

教訓と対策

意外と知らずにやってしまいがちなのが、シングルバーナーを使った大型調理器具での料理です。グループ登山で鍋で豚汁を作ったり、フライパンでお肉を焼いたりって、けっこうあるのではないでしょうか?特に長時間煮込む料理はガス缶が熱くなりやすいので要注意です。

対策としては、皆で分担して料理を作ったり、分離型のシングルバーナーを使うなどして、輻射熱が長時間ガス缶に当たらないよう気をつけましょう。また、キャンプなどで、シングルバーナーを2台使って大きな鉄板を乗せるのも非常に危険なので、絶対にやらないでください。バーナーの近くには火気厳禁ですよ。

ガス漏れで爆発しやけど

■キャンプ場で10代の男性がシングルバーナーをガス缶に取り付ける際、器具栓つまみがしっかり閉じられていなかったためガスが漏れ出しており、点火スイッチを入れた途端に爆発してやけどを負った。

ガスが出ていると、シューっという音や臭いで気が付いたりするのですが、風のある屋外や賑やかな場所では気付かないこともあると思います。器具栓のつまみは、普通ならば前回閉じた状態のままになっているはずですが、何らかの拍子に緩んでしまったり、逆に回してしまったりしているかもしれません。周囲に大量のガスが漏れだしていると、点火した途端に引火する危険があります。

教訓と対策

ガス漏れは、つまみが緩む時だけでなく、ガス缶とバーナーが正しく取り付けられていない時や、接続部のゴムが劣化している時にも発生します。再度付け直してもシューっという音がする場合は、使用を中止して点検・修理を依頼してください。

対策として、バーナーを取り付ける前にまず器具栓つまみを再度しっかり閉めることと、時々接続部のゴムを点検し、欠けや破れがないかをチェックするようにしましょう。

一酸化炭素中毒で死亡

■山小屋近くのテント内で、30代の登山者が火器を使用したまま寝てしまい、朝、一酸化炭素中毒で死亡しているのが見つかった。

秋冬の寒い時期の登山では、夜は冷え込むためどうしてもテントの中でバーナーを使うことが多くなります。この男性は固形燃料を使っていたということですが、小さな火器でも燃焼には大量の酸素が必要です。密室状態で酸素が少なくなると、火器は不完全燃焼を起こし、一酸化炭素を発生させます。

一酸化炭素は無味無臭であるがために気付きにくく、一酸化炭素が多い環境下で血液中の酸素を運ぶ赤血球と結びついてしまい、全身に必要な酸素が供給されにくくなります。

症状としては、軽い頭痛、めまい、視力低下、脱力感から始まり、症状が進むと意識がぼんやりする、失神する、痙攣する、呼吸が止まる、など危険な状態となります。

教訓と対策

もともと、ガスバーナーは屋外で使用するために作られたものです。絶対に気密性の高い屋内では使用しないようにしましょう。テントだけでなく、車中泊での使用もやめましょう。

対策として、テント内で火器を使わなくてもいいように、昼間のうちに外で熱湯を作って魔法瓶に入れておき、お湯を使った料理に留めることをおすすめします。寒い時期には、そのお湯をナルゲンボトルに入れれば湯たんぽとしても使えます。

シュラフに火が燃え移って死亡

■キャンプ場のテント内で、60代の男性が就寝中、がスバーナーの炎がシュラフに燃え移り、テントごと全焼して焼死した。

綿の入ったナイロン製のシュラフは火が燃え移りやすく、眠ってしまうと気付くのが遅れたり、すぐに脱げなかったりして、大やけどを負うどころか、最悪死に至る場合もあります。寝る前に消そうと思っていたがいつのまにか寝てしまい、寝返りを打ってガスバーナーに接触、というパターンは容易に想像できます。テント内で火器を使うことは本当に危険です。

教訓と対策

ガスバーナーで一番怖いのが火災です。寝る前に、ガスバーナーの火をしっかり消したかどうか再確認をしましょう。まずはテント内で火器を使わないことが大原則ですし、屋外でも周囲に燃えやすいものを置かないこと、ガスバーナーの下に耐火性のマットを敷くなど対策をしましょう。耐火性マットは、木製のベンチテーブルや草が生えた場所など、焦げや引火が心配なところにも使えます。

シングルバーナーを安全に使うための注意喚起

上記の事故例以外にも、バーナーを使用する際に気をつけなければいけないことはたくさんあります。

取扱上の禁止事項

ガス器具取扱上の禁止事項をSOTOの公式サイトから引用しましたので、参考にしてください。

  • 炭の火起こしなど炭をのせての使用
  • こんろを2台以上並べての使用
  • こんろから極端にはみでるような大きな鍋や大きな鉄板などの使用
  • 夏の砂浜など直射日光によって容器(ボンベ)が過熱するような場所での使用
  • 使用容器(ボンベ)は、火気や直射日光(室内や車内の窓際など)を避けてキャップをして風通しの良い湿気の少ない40℃以下の場所に保管してください。
  • 使用容器(ボンベ)を火の中に投じないでください。爆発して危険です。
  • 使用容器(ボンベ)をファンヒーターの前など熱気のあたる場所に放置しないでください。熱で容器(ボンベ)の圧力が上がり爆発する危険があります。
  • こんろの上や周囲に燃えやすいものを置かないでください。
  • 燃えやすいものからは30cm以上離してご使用ください。
  • 強い風が吹くときは使用しないでください。風で炎が消される危険があります。
  • 屋外専用ですので家の中、テントの中、車の中では絶対に使用しないでください。一酸化炭素中毒死や酸欠による窒息死のおそれがあります。
  • ヒーターやたき火の近くなど熱気があたる場所では絶対にご使用にならないでください。容器(ボンベ)が過熱され爆発する危険があります。
  • 石やブロックおよび板等で全面を囲んでの使用はボンベが過熱し、非常に危険ですのでおやめください。
  • 点火するときは、顔や手をバーナー付近に近づけないでください。
  • 燃焼中は絶対に持ち運んだり動かしたりしないでください。
SOTO公式サイト

ガス缶の廃棄処理

ガス缶には使用期限があり、約7年とされています。長期放置していると、容器に錆が出たり、ゴムが劣化したりして、ガス漏れの原因となります。早めに使い切るか、適切な方法で処分しましょう。

容器(ボンベ)は完全に使いきることが大原則です。ガスが残ったまま捨ててしまうと、ゴミ収集車の中で火災が起きたり爆発したりして、人命にかかわる事故が発生することも。空になった容器は、各自治体の処理方法に従って他のゴミと区別して捨ててください。

【ガスが残っている場合の処分方法

SOTO ST-770 出典:amazon

ガス缶のガス抜きには専用ツールを使いましょう。SOTOのガス抜きツールST-770は、「穴あけをしないでガスを抜く(OD缶やねじ込み式ボンベ)」「ガスを抜いた後に穴あけをする(OD缶・CB缶)」2通りの使い方ができて便利です。

出典:amazon

OD缶のガス抜きは、ガス抜きツールを使ってガスを抜きましょう。

CB缶のガス抜きは、キャップを外し、硬いコンクリート上で逆さまにしてステムを強く押し込むとガスが抜けます。

※必ず屋外の風通しの良い場所で、周りに火の気がないことを確認しましょう。

穴あけに関しては、自治体によって「穴あけして捨てる」「穴あけしないで捨てる」の違いがあるので確認しましょう。穴あけしないで廃棄する時はそのまま、穴あけして廃棄するには、ST-770を底面のふちに引っ掛けて、てこの原理で穴をあけます。※ふちがないボンベ(化粧品や医薬品)には対応していません。

※OD缶はCB缶に比べて容器が厚く、一般的な穴あけツールは刃が負けてしまうのでおすすめしません。

まとめ

アウトドアや登山でガスバーナーなどのガス器具を使う機会が増えてきましたが、使い方を間違えると火災や一酸化炭素中毒を引き起こすなど、大きな事故に繋がりやすいです。ガス缶は使い始めから廃棄までが使う人の責任!ガスバーナーは正しい知識を身に付け、安全に使うようにしましょう。

▼SOTOシングルバーナーの人気機種5種を比較したページも是非ご覧ください。

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